今までは経済成長によって、物がどんどん作られていってたくさんの人に物が手に入る時代になりました。
テレビがない家庭がなくなり、洗濯機がない家庭は現代ではほとんどないでしょう。
それは生産性を高めることによってコストが下がり、料金が下がり、みんなが手に入りやすい価格まで下げられたことによっておきました。
それは本当に素晴らしいことでしょう。
しかしその代わりに物の値段が下がり、労働者の給料まで下がり続け、今では安い賃金で働かざるを得なくりました。
ある意味コストが下がりすぎたと言えるでしょう。
これだけ物が増えて、みんなが豊かになったはずなのだから、もっとみんなが裕福になってもおかしくはないでしょう。
生産性が上がったのなら、今までの半分以下の労働時間になっていないとおかしいはずです。
しかし現実は違います。
むしろ昔よりも、労働時間は増えてブラック企業が増加しています。
パソコンもあり、便利なソフトが増えてきて、生産性が上がったはずなのにいつまで経っても労働時間が減らないのはなぜでしょうか。
それが生産性を上げた結果です。
これからの時代は生産性で戦う時代は終わったのです。
むしろ逆です。
生産性の低い、コストがかかるものに価値がある時代へと変わっていくでしょう。
なぜそう言い切れるのかというと、
物が溢れているからです。
みんながある程度満足しているのです。
常に物がグレードアップをして、さらに進化を続けているのは確かです。
iPhoneもどんどん良い物、性能の高い物へと進化しています。
しかし、ユーザーは性能の高い物を求めているのかというとそんなことはありません。
もちろんもっと便利な物を求めているのは確かですが、現在のグレードアップというのは「現状よりも少し良い物」程度に収まっています。
それは革新的な物ではないのです。
性能が上がるのは当たり前になっているのです。
ある意味それでは満足出来なくなっているのです。
個人的な話で言えば欲しいものはたくさんありますが、
全体的に見ればもう物は飽和しています。
供給過多になっているのです。
みんなが同じような物を持っているのです。
だからこそこれからの時代は、
「希少性のある物」に価値を見出す時代へと変わっていくのです。
「便利な物」よりも、
「こだわった物」
「洗練された物」
「斬新な物」
というものに価値を感じる時代へと変わっていくでしょう。
これからも生産性はさらに高まっていくでしょう。
それは、「AI」が普及されればさらに拡大します。
生産性を上げられる物は全てAIに任せるような時代になるでしょう。
そうなると人間がやることがどんどんなくなってきます。
そこで人間にしか出来ないことがあります。
それが、「アート」です。
アートやデザインというのは、人間のイメージから生み出される無から有を生み出す作業です。
今まで革新的な進歩を遂げられたのは、その無から有を生み出すことが出来るイメージの力があったから出来たことです。
将来まではわかりませんが、しばらくの間はAIには出来ないことでしょう。
だからこそ人間がやるべきことは、無から有を生み出すことです。
それは別に新しい物を作り出すということではありません。
全ての物にアートいうのは組み込めます。
家具を作ることは機械にも出来るかもしれませんが、とても美しい洗練されたデザインの家具は人間にしか作れません。
確かに機械よりも圧倒的にコストもかかりますし、お金もかかります。
しかし、その出来上がった物は、世界に一つしかない代物になるのです。
現代では物がたくさんあるわけですから、別にたくさんの物が必要なわけではありません。
一つでも良いから素晴らしい物を持っていれば良いのです。
そのような手間暇かけた希少性のある美しい物に価値を見出す人はこれから増えていくでしょう。
生産性のある物はAIに任せ、素晴らしく美しい物を人間が作る。
その二極化はどんどん進んでいくでしょう。
そして今まで以上にアートやデザインという分野の需要は高まっていくでしょう。